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2012年04月10日(火)11:59『かわいいごん』ふたたび 私、猪俣は37年前、宮崎市内の大塚保育園で、3歳児16名の担任保育士をしていました。その時に月刊誌『チャイルド ブックゴールド10』(発行所・株式会社 チャイルド本社/昭和49年10月1日発行)のなかに、「ゴンがねらってるよ」(作・山元護久)というお話を題材にして保育をし、その実践記録を『かわいいごん』として、平成2年3月に(株)銀の鈴社より出版しました。 その本を読んで頂ければ分かることですが、それはさておきます。
ところが、ところがです。その当時の子どもたちといっしょに制作した物語のなかの、ゴンという怪獣を貼り絵にした現物が、37年の時を経てめざめたのです。大きさは模造紙4枚をガムテープでつなぎ合わせたものです。 これを捨てるにはもったいないと、保存方法を宮崎市内の山静堂店主の山本博之さんに相談して、三枚折れ屏風として立派に蘇りました。 そして又、このゴンの屏風をこのまま風化させても、もったいないと思い、 今在園の子どもたちに、「ゴンがねらってるよ」の読み聞かせを2歳児担任の、大下祐香がしました。1ヶ月余りのことでしたが、『「かわいいごん」ふたたびー実践記録—』としてまとめることが出来ました。 今の子どもたちが37年前の子どもとどのような関わり方をしてくれるか、興味がありました。結果は「あー、37年前の子どもたちと同じだなー」というのが実感でした。 それはきっとこの絵本の持つ魅力だと思います。 その『「かわいいごん」ふたたびー実践記録—』が当所のホームページ、ギャラリーに飾ってありますので、目にとまり、興味がありましたら、当所へ申し出下さい。三枚折れ屏風も展示してありますよ。 平成24年4月 猪俣 記
「春のやよい」はどこ? 平成24年2月25日
二月の節分の行事がおわると、ホールに大きなひな壇を飾ります。敷きつめた赤い毛氈のうえに並んだひな人形を見て、子どもたちは目を輝かせます。そして手にとったり、触ったりして好奇心いっぱいです。何しろ集団で弄(もてあそ)ばれては大変なので、「大事、大事よ」といって、眺めるように教えていきます。 そんなある日、お昼の給食がすんで広いホールに1人、ひな壇の前に立ちすくんで、サトウハチロー作詞の「うれしいひなまつり」の歌をうたっている2歳10ヶ月の男の子。ホールを掃き掃除しながら、じっと聞き耳をたてていると、何と、「あかりをつけましょ ぼんぼりに…」から始まって4コーラスの歌詞を一字一句間違わずにうたっています。しかし終わりがありません。何回も繰り返してうたっています。ホーキの手をとめて、拍子をとっている保育士に気がつき「ねぇ、ねぇ、春のやよいはどこ?」と質問しました。はたっと答えに窮し、「どこかな、どれかな」と、いつしょに、ひな壇を覗きこんでいると、ぼんぼりはあそこ、桃の花はここと指差しながら、お内裏様、おひな様、金のびょうぶ、といった具合にちゃんと言葉と物を対応させているのです。「右大臣は、この人よ」とも。そして「これは何?」に「菱餅よ」と教えました。 「うれしいひなまつり」の4番目の最後の方に、「春のやよいの このよき日 なによりうれしい ひな祭り」の「春のやよい」はどれって言われても答えようがありません。「あなたがもう少し大きくなったら分かるよ」と言っても答えになりません。そこで、ひな壇の上あたりを手で示して「この辺よ、ここあたりよ。春のやよいは」と言えば、「ここが春のやよいね」「そう」と何となく意思が通じ合った場面でした。 この時この年齢では、そこに形がなくても、つもり遊びや見立て遊びが得意だから救われました。 ひな壇の前にて幼子歌いつつ春のやよいはどこと我にきく
平成24年2月 (猪俣 記)
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