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2012年11月07日(水)16:00
おばぁちゃん

 職員のTさんの祖母が亡くなられた。当年90歳。老衰とのこと。まるで枯れ木が倒れるような大往生だった由。いまわの際まで頭がはっきりし、寝込んでそう日数は経っていない。聞けば身内の者には縁が薄かったそうだが、孫であるTさんとは親子のような関係で、その人生の後半を共に暮らしてきたそうな。
 「今日はどうだった?子どもたちは元気だった?」
 「そうか、無事でよかった」と先ず保育所から孫の帰りを待って案ずる。T
さんは保育士である。
 「大事な命を預かってるんだから、よーく気をつけるんだよ」と口ぐせのように言う。
  最近、世の中は核家族化の傾向がみられ、小さい子どもたちの中には、おばあちゃんなるものを知らない子が多いようだ。
 自分の子のエピソードで恐縮だが、私は毎晩、せめてこれだけはと思って、夜、休む時は絵本を読んで聞かせていた。『ももたろう』の絵本が大好きで、髪が真っ白で、腰がくの字に曲がったおばぁちゃんの絵が特に興味があり、こんな人どこにいるの?と子どもは好奇心を寄せていた。3歳の時だったと思う。川沿いを我が子と散歩していると、子どもが急に立ち止まって、何かに憑かれたように一点を見つめて動かない。どうしたのかと見れば、対岸を、腰を曲げて、エッチラ、ホッチラ歩いているおばぁちゃんの姿がある。
 「あっ、あれがおばぁちゃんだよ」と教えれば、
 「桃太郎のおばぁちゃん、桃太郎のおばぁちゃん」と奇声をあげて喜んだものでる。絵の中のおばぁちゃんが本当にいた!
 我が子は魅せられたように、自分まで腰を折り曲げて、ずっと見入っているではないか!これほど貴重なおばぁちゃんは、そうざらにはいない。
  おばぁちゃんー、何と響きのよい言葉であろう。当所にも4〜5人はおばぁちゃん子らしい子がいる。おばぁちゃん子は甘えん坊だからとも云われがちであるが、その内には、我々よりも先に人生を歩いてきた尊い経験と、それの知恵が脈々と流れていることを知るのである。
 春の陽ざしをあびながら、野辺の送りの人群れのなかで思ったことでした。
                                              猪俣美智子(当時所長)記
 註:1977年(昭和52年)3月 「曽師保育所園だより」



   オキハ ナミ タカイゾ   平成24年10月3日

 花火を合図に、とりどりのカラーテープが船の甲板から一斉に投下され、テープの雨の中に私は立たされた。
 見上げる甲板に我娘は必死になって、「わたしの投げたテープをお母さんは拾ったかしら」と見下ろしている。別なのを拾って、「分からない、これでいいでしょう」と合図を送れば、しばらく諦め顔をして、やがてにっこり笑った。
 中学二年生。「少年の船」(註)に自ら希望して沖縄への研修旅行に向かう灼熱の七月である。
 思えば一歳三ヶ月の頃、足腰が達者になって公園へ連れて行った時、タッ タッ タッ と滑り台に走り寄り、一人で階段をよじのぼり、母親の背丈より高い位置に立ち、得意気ににっこり笑って見下ろしたのを。そのことを自立の第一歩と認識したことがあった。
 その次は片言が出るようになり、親しい近所の奥さんの家に、夜は泊まると言って電話で「アーチャン、ヒトリ、サビシクナイ?」と母親から離れたのがニ度目の自立だった。
 その次は、小学校六年生の修学旅行、それから先達ての長崎、秋吉台へのこれも修学旅行。親を離れて自立への道がつづく。そしてこの度の「少年の船」。
夏の真っ盛りに南の国沖縄へ四泊五日の船旅には、それ相当の体力、勇気、知力を要するだろう。門出に当たって三十分程の出航式があったがバタバタと倒れる子が十一名も出た。
 昔からの、わらべうたに「舟こぎ遊び」といって、赤ちゃんから楽しめるものがあります。
 「ギッコン バッタン ヨイショブネ
 オキハ ナミ タカイゾ」
 やがて巣立つ子どもたちよ。自分の人生は自分の手(艫)でこぎなさい。海の沖の方は波が高いですよ。その荒波をのりきってほしいという願いをこめた遊びです。
 私たち保育士及び大人は、子どもたちにやさしい愛情をふり注ぎながら、強くたくましく生きていく力を、身につけてあげることは、いつの時代にも求められると思います。
                                          平成24年10月  猪俣美智子

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